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疲労回復に役立つ食べ物

2022年5月7日

疲労回復に役立つ物質

食べ物から疲労回復をアプローチしていくにはどのような食べ物がいいのか?

まず疲労回復に役立つ物質を取り出してみると、

・ビタミンB1

エネルギー源である糖質(ブドウ糖)を体内で生成するために必要。

食材:うなぎ、豚肉、鯛、ぶり、大豆、モロヘイヤ、玄米、ほうれん草、ごま

・アリシン

殺菌作用とビタミンB1の吸収を助ける作用がある。

食材:ニンニク、ニラ、ネギ、玉ネギなど

・クエン酸

疲労物質である乳酸を水と炭酸ガスに分解して体外へ放出させる働きがある。
また乳酸そのものも作りにくくする。

食材:レモンやオレンジ、グレープフルーツ、梅干しなど

・イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)

疲労回復物質を増加させる働きがある。

食材:鶏肉(むね肉)、カジキマグロ、マグロ、カツオ、豚肉(ロース)

※数千kmも飛び続けることができる鳥の胸肉には、「イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)」多く含んでいます。
また、回遊魚にも多く含まれています。

疲労回復に役立つ物質はどうして効果を生み出すのか?

では、疲労回復に役立つ物質はどうして効果
を生み出すのでしょか?

・ビタミンB1

米やパン等の炭水化物は人体のエネルギー源であるブドウ糖になります。

ブドウ糖は肝臓で分解されてエネルギーに変わりますが、

このときに必要なのがビタミンB1です。

炭水化物を食べてもビタミンB1が不足すれば、

ブドウ糖はエネルギーになりきれずに乳酸という疲労物質に変わってしまうので、

ビタミンB1をしっかりと摂る必要があるのです。

また疲れた時には身体がエネルギーを求めるので、

エネルギー源となる糖質を摂るために
甘い物を食べたくなりますが、

ビタミンB1が不足していると、

糖質を効率良くエネルギーに代謝しきれないので返って血糖値が上昇してしまい、

その結果として疲労や倦怠感に繋がってしまいます

十分に睡眠を取ったはずなのに寝不足を感じる場合や、

仕事に対して集中力が続かない場合は神経の疲労が溜まっている可能性があります。

ビタミンB1が不足すれば疲労感を誘発すると言われており

特にビタミンB1が不足してブドウ糖をエネルギー源としている神経系の異常が起きた場合がいわゆる「脚気」です。

またビタミンB1は体内の貯蔵量が少ないため簡単に不足してしまうこともあります。

食事の時間が不規則になったり、簡単な外食ですましたり、

また摂らないことが多くなると、
ビタミンB1が不足してしまう可能性も
考慮しないといけないので十分な注意が必要です。

お酒を飲んだ場合は飲み過ぎたときには注意が必要です。

通常はアルコールの分解にはビタミンB1を必要としませんが、

飲み過ぎた場合はビタミンB1を消費してしまい、

それが翌日の疲労を招くことになってしまいます。

糖質から生み出されるエネルギーはストレスを緩和したり、

体内に疲労物質(乳酸)が蓄積されることを防ぐ働きがあるので、

効率的に摂取して身体も精神も上手に疲労を
回復できるように努めたいところです。

しかしビタミンB1は代謝が早く、

貯蔵されにくい性質があるため、

上手に継続的に摂取することを日常から心掛けていく必要があります。

・アリシン

アリシンは強い抗菌・抗カビ作用をもつ化合物です。

また、アリシンはニンニクを調理したときのあの臭いの元となる成分であり、

ニンニクに含まれているアリインという物質が分解されて生成されます。

※ちなみにニンニクの強壮効果の正体は含まれているスコルジニンです。

アリシンは強力な抗酸化作用を有しており、発がんを抑制します。

また、強力な殺菌・抗菌力作用も有していて、

風邪や気管支炎の原因になる連鎖球菌や
ブドウ状球菌等に対する殺菌・抗菌作用があります。

この結果、病菌に対する抵抗力を高める働きがあるのです。

またこの抗酸化作用を利用して、動脈硬化に対抗したり、

脂肪塊を縮小する効果も医学的な用途として使用されています。

ビタミンB1は水溶性で熱に弱い性質のため
調理における損失が多いのですが、

アリシンを含むタマネギやニンニクといっしょに調理すると

ビタミンB1と結合して「アリチアミン」となって、

損失が少なくなり吸収しやすくなります。

「アリチアミン」はビタミンB1よりも疲労回復に対して効能があり、

ビタミンB1と比較して体内で吸収されやすいだけでなく、

持続的に働く活性型のビタミンなので、

単体のビタミンB1よりも疲労回復に対して効果が高いのです。

またビタミンB1は必要量を超えると吸収されませんが、

アリシンがあると、小腸でさらに吸収されて肝臓に貯えられます。

これがスタミナアップの効果に繋がるのです。

アリチアミンはニンニクに含まれるスコルジニンと同じような効果があり、

末梢血管を拡張して血行を良くして体を温め、

さらに精神の安定を図る効果があります。

・クエン酸

クエン酸は疲労回復に役立つ物質として
一番有名なのではないでしょうか。

クエン酸はレモン・梅干し等に含まれている、いわゆる「酸っぱい」成分です。

クエン酸は疲労の原因である乳酸の生成を抑制する作用や、

乳酸を水と炭酸ガスに分解して体外へ放出する作用があるので疲労回復の効果を得ることができます。

そのため、肉体疲労のみならず肩こり・筋肉痛、そして肝臓病等の予防や改善に役立つとされています。

他には脳の神経疲労を和らげることにより
認知症の予防にもなると言われています。

また、クエン酸の他の作用としては
カルシウムの不足を防いだり、
カルシウムの吸収を助ける働きがあります。

それはカルシウムはクエン酸と結合することで、溶解力が強くなるので体内に吸収されやすくなるからです。

さらにクエン酸は動脈硬化を予防する
効果も期待できます。

動脈硬化は
「狭心症」・「心筋梗塞」・「脳梗塞」・「高血圧」といった
生活習慣病に繋がっていくので非常に注意が必要ですが、

クエン酸は血圧を上げてしまう働きを持つ
ACE酵素の働きを10%程まで低下させる効果があります。

当然ながら人体は血圧を上げる作用も
下げる作用も必要ですので、

血圧のバランスを取る意味では
クエン酸は重要な働きを担っているということも言えます。

後、「酢」を摂取することも「クエン酸」の補給になります。

「酢」は摂取されると体内で「クエン酸」に変わり、

エネルギーを生産する「クエン酸回路」を
活性化して疲労を回復させます。

ところで酢を摂取する時には糖質を多く含む
炭水化物を一緒に摂取すると効率の良い疲労回復に繋がります。

ということは、

運動後は単に炭水化物を摂取するだけでなく
クエン酸をも同時に摂取した方が、

グリコーゲンを多く貯蔵できるので
効率の良い疲労回復に繋がります。

そのため運動後用のサプリメント等では
クエン酸入りのものがあるのです。

※クエン酸回路…体内に摂取した食物を効率良くエネルギーに変える働き。