さて、ランナーズハイについてです。
ちなににこの「ランナーズハイ」という言葉は、
最近のマラソンブームが広まってから耳にするようになったと思います。
私が現役の陸上部の頃はどちらかというと
「セカンドウィンド」という言葉しか聞いたことがありません。
一般的な区分けとしては大体こんな感じでしょうか。
・ランナーズハイ・・・走り続けているうちに気分が高揚してくる状態。
脳内麻薬が作用しているという説もあります。
・セカンドウィンド・・・走り続けているうちに呼吸が楽になって、
楽に走れる状態。
これらを分けて考える人もいれば、
セカンドウィンドという言葉を使わない人もいます。
私の場合は「楽に走る」という観点から
同じものとして捉えていきます。
医学的な見地からの考察はここでは本筋から離れるので、
自分の経験から書いてみると、
セカンドウィンド(=ランナーズハイ)の状態とは、
・呼吸が楽になる(意識しなくても自然に近い呼吸になっている)
・楽に全力疾走、もしくはそれに近いスピードが出せる
大体経験では25分位走るとこの状態になることが多いです。
ちなみによく聞かれるのが、
「走っている時って、何を考えているのですか?」
ということをよく聞かれます。
それに対して、
「何も考えていません。頭の中が真っ白になっています。」
と私は応えています。
私はちょくちょく大会で走りながら
SNSを更新したりしていますが、
走っている最中は信じられないくらい思考ができません。
携帯の画面をじっとみつめたまま、
文章を考えたくても何も考えられないのです。
ところが何故か立ち止まると思考ができるのです。
いつも不思議に思っていました。
この経験から察するに、
人間の身体にはその時の状態に応じて、
身体の各部位への酸素の分配を脳がコントロールする機能が
備わっているように思えて仕方がないのです。
つまり仕事中や勉強中は脳が酸素を必要としているから
脳への酸素供給量を増やし、
運動中は身体を動かすために酸素を身体の動いている
各部位への酸素供給量を増やす、
つまり私自身の経験上、
「酸素を分配する」ということを身体が行っているように思えるのです。
脳の酸素消費量は身体全体の酸素消費量の約20%と言われていますが、
身体全体の中でも最大の酸素を消費する器官です。
人間の酸素摂取量は決まっていますから、
非常に多くの酸素を消費する脳に対して
供給される酸素を上手に身体の各部位へ分配できれば、
いつもよりも持久力のパワーアップが計れるのだろう、
私は経験上そう思えてしまうのです。
そうだとすると、走っていてセカンドウィンド(=ランナーズハイ)の状態の時に、
頭の中が真っ白になって思考が鈍くなる、
ということも当然といえば当然かもしれません。
そしてこの「酸素の分配」を行える身体を作ることが、
セカンドウィンド(=ランナーズハイ)の状態を
身体に作り出すためのキーだと私は思っています。
ではどうすればセカンドウィンド(=ランナーズハイ)になるのか。
ちなみに陸上部時代はセカンドウィンド(=ランナーズハイ)に
ついては大体こんな感じで説明を受けていました。
走り始めると、
①一番苦しい状態がやってくる(これが「デッドポイント」)
②デッドポイントを通過後、
身体が楽になり快適に走れる(これが「セカンドウィンド」)
当然このデッドポイントには個人差があるわけで、
早い選手程、早くデッドポイントを
通過させるためにスタート直後は猛ダッシュをする、
ということですが、
私のように長距離が苦手な人間からすれば
スタート直後からダッシュするなんて
たまったものではありません。
なので冬場の長距離の練習は正直苦痛でしかありませんでした。
しかも中学時代の事なので、
長距離と言ってもたかだか3kmという中距離なので
正味12分もあれば完走してしまいます。
今の私でさえ25分程かかって
ようやくセカンドウィンド(=ランナーズハイ)になるのですから、
これではどうすればセカンドウィンド(=ランナーズハイ)に
身体を持っていけるかが分からないままでした。
自分の身体のコントロールの仕方を知らないままに、
スタートしてから猛ダッシュしてしまうと、
しんどいだけでマラソンが終わってしまいます。
なので自分の身体の特性を理解して
上手にセカンドウィンドに持っていけるうにすることが
マラソンを楽に走る上では大事なことだと思いますし、
引いてはタイムアップにも繋がるのです。
今でしたら身体が長距離を走ることを理解しているので、
スタート早々にダッシュしても上手く
セカンドウィンド(=ランナーズハイ)に
なるように身体が自然と反応してくれますが、
学生時代はそのことを身体が知らないままに
スタート早々からダッシュしていたので、
持久走はホントにしんどくて
楽しいものではないと感じていました。
しかしそれでは勿体無い!
長距離を楽しむためには、LSDの時に書きましたように、
わざといらいらする位にゆっくりと走って、
脳に「走る」という行為を十分に認識させる練習を行い、
脳が「走る」ことに対して最適な身体の状況を作り出せるように
癖付けさせることです。
そうすれば早い段階から
セカンドウィンド(=ランナーズハイ)が起こりますし、
引いては長距離を走るのが楽しい!
と身体から実感を得ることができるのです。
さらに脳が「走る」ということを練習で認識し、
最適な酸素の分配を脳がコントロールできるようになると、
セカンドウィンド(=ランナーズハイ)が起こるのだろうと考えています。
また、さらにそうなれば身体の各部位の余分な力みが減るだけに
ケガの予防にも繋がるのです。
では走る時に生じるケガとはどんなものか。
それについてはまた後述してみますね。